むかしむかしあるところに…で始まるのが昔話。しかし、その舞台はいったいどこなのか?
昨今ではアニメの聖地巡礼といったイベントも盛んだが、昔話にフューチャーして、その聖地を探るという動きはあまりない。
ところが2017年に第15回を数える、ある昔話の「サミット」が東京・八王子市で2017年9月2日に行われていた。
その名も「桃太郎サミットin東京」。
各地から集まった約100名が、桃太郎について様々な角度から研究をするこのイベント。
1996年から始まり、桃太郎発祥の地とされる7都市が持ち回りで行っている。
このイベントの発起人は、桃太郎一筋の故・小久保桃江氏。
戦前から子どもの健全育成のために桃太郎運動を起こし、
「人類幸福の秘訣は桃太郎のおとぎ話にあり」を理念に、智・仁・勇・健康・富の大事さを説いてきた人物だ。
2006年に104歳でその生涯を閉じるまで、桃太郎一筋の小久保氏の想いを継いで、現在は日本桃太郎会連合会が主催し、桃太郎サミットを開催している。
そのサミットに参加している都市は、以下の7つ。
・岡山県岡山市
・愛知県犬山市
・香川県高松市
・奈良県田原本町
・山梨県大月市
・岡山県三咲町
・東京都
いずれも独自の説を唱えて、会を盛り上げていた。
今回のサミットでは、俳優でもあり、桃太郎研究家としても活躍する神木優氏、国立東京工業高等専門学校の船戸美智子准教授、桃太郎からくり博物館の住宅正人館長がそれぞれのテーマで発表を行った。
桃太郎と言えば桃から生まれたという話が定説だが、江戸時代の絵巻では桃を食べたおばあさんが若返って桃太郎を生んだという回春型という話が多かったという。
一方で桃から生まれたという説は「果生型」というのだが、どこからこちらの説が主流になったのか? といった謎についても言及されていた。
いずれにしても日本人ならば誰もが知っている桃太郎。
その物語の奥深さを感じさせるイベントだった。