猫や犬、はたまた羊などを愛でたり、ひざに乗せたりしながらお茶をする「動物カフェ」は今や世界中に広がっているが、多分Amix Caffeeのように足元を数十匹の魚が泳ぎまわる「魚カフェ」は世界でここだけだろう。
ベトナム・ホーチミン市にあるAmix Coffeeは小さい魚から大きな鯉サイズの魚までを取りそろえ、店内2フロアそのものを巨大な池にしてしまったのだ。両フロア共に二重のプラスチック製シートで囲われており、家具の脚は綿で包むことで摩擦を最小限に抑え、防水シートの破損を防いである。水深は約25cm。カラフルな魚で一杯のこの人工池でお茶をするには靴を脱ぎ、足を綺麗にしてから入ることが義務づけられている。そして一度店内に入れば、足元に小魚や鯉が泳ぎ回る中、客は様々なスイーツやドリンクを楽しむことができるのだ。
Amix Coffeeは若き経営者Nguyen Duoc Hoa(23)が考案した、動物カフェの全く新しい形態だ。
とはいえ、このアイディアを実現するのは簡単なことではなかった。1階と2階、2フロアを1万リットルの水で満たし、しかもそれを常に綺麗に保つことはかなりの挑戦だった。しかし結果的に彼はそれをやってのけたのだ。
店内では3つのフィルタリングシステムが常に水を浄化し、また各フロアの4分の1から半分の水を新鮮な水に変えるポンプにより魚にとって快適な環境が保たれている。しかし、客により魚に必要以上のストレスを与えないようにことが、実は一番難しかったようだ。
Hoa氏はSpanish news agencyに対し、小さな子供をもつファミリー層がカフェには重要なターゲットだと話し、多くは何の問題もないが、一部の親は店側で禁止されているにも関わらず、平気で子供たちに魚を追いかけまわさると語る。
「ほとんどのご家族は何も問題はないのですが、やはり中には魚を捕まえようとする子供がいて、そうした子供の親御さんは何も注意しないのです。こうしたことがきっかけで、お店を出るように言わざるを得ないお客様もいました。」
Amix Coffeeの1階は小さな観賞魚がメインで、2階は日本の鯉のような重さ300gはあるような大き目の魚がメインとなっている。若きオーナーは、どうしても小さな観賞魚は寿命が短いため、将来的には鯉の数を増やしていきたいと展望を話す。
このホーチミン市で生まれた人工池の「魚カフェ」の評判は上々だ。しかし一部では、客に対しエンターテインメントを提供するためだけに魚を不必要なストレスに晒し、不衛生な環境で飼育することは動物に対する忌まわしき犯罪にも等しいとの批判もある。
ベトナムのニュースサイトZingに対しある人は、
「人間の臭い足で生活環境を歩き回られる魚のことを考えたら可哀想で仕方ないよ。遅かれ早かれ、そのストレスで死んでしまうだろうね。」
とコメントし、さらには、
「魚だってあんな環境で暮らしたくはないよ。あんな店は即座にボイコットすべきだね。だってこれは明らかに動物虐待だから。」
と語気を荒くしている。
これだけ鯉がうじゃうじゃいる池の中に好き好んで足を浸し、魚臭い匂いを嗅ぎながらスイーツやコーヒーを飲む気には到底なれないのだが・・・読者の皆さんはいかがだろうか。