私は「北海道の怖い話」「広島の怖い話」などを、涙活(るいかつ)の生みの親でもある株式会社たきびファクトリー代表・寺井広樹氏とともに共著で出版しているが、その本の出版社、TOブックスさんは間口が広いと言うか、担当者がとても面白い。実は社長さんが担当者なのだ。
社長さんが担当者になった経緯は改めて後日お伝えするとして、前回に引き続き、また私の説明書きを話していきたいと思う。
私は、故郷熊本のために音楽も作詞作曲した。曲造りは才能豊かな音楽業界の塚本啓介氏に頼み、実に素晴らしい曲ができた。それを友人の歌手と声優に歌ってもらい、今2曲目まで出している。さらに音楽だけじゃ売れないと思って、ⅯⅤまで完成させた。
映像の良さは目に入るストーリー。若者のすべて、のような作品に仕上がった、これに出てもらった俳優女優も私のキャスティング、監督も友人だ。
よかったら動画を掲載しておくので、ぜひ聞いていただければと思う。
これらの話題性もあって、2冊目の「東北の怖い話」の発売に向けてトークショーをしよう!ということになった。もちろん肝いりは社長。
私と共著の寺井氏は普段からも協力関係にあり、最も尊敬する人の一人。なので、普段おしゃべりしていても話が尽きないぐらい気が合う。
二人で怪談トークすれば、大体の人が喜んでくれるし納得してくれる。だが、これをPRするような手段がない。
そこで、俳優女優さんたちにも協力してもらってSNSでも呼び込み。
社長にも2,30人は堅いです、なんて言っていた。
ところが、ふたを開けてみたら、私の声かけた方の20人弱くらいしか来なかった。
「あれだけSNSでは人気の俳優なのになぜ?」と不思議に思ったが、いそいそとトークショーを始める。
後で考えたら、いくら「ツイッターのフォロワー5万人です!」といっても、通りすがりのファンもいれば、家から出られないからSNSを楽しみにしてる人もいるわけだ。だから現実にここでショーをやります!と言っても、現実問題足を運べない。俳優たちもSNSの画像のイメージから離れた自分の姿はあまり見せたくない。
フムフムそういう訳か。
トークの中で、怪談噺をしてもらった。
5人くらいかわるがわる話すが、どうも慣れてないせいか、オチがない。
「あれ、何だろうと思ってみてたら、幽霊でした」
シーン。
きちんと聞いているのか、面白くないと思ってるのか。
そこで私が合いの手を打つ。「今のは初級ね、次は中級いきまーす」と。
そうなるとがぜん、次の人はハードルが上がる。
このプレッシャーの連鎖で、最後は超上級として、本を売っていた社長にお願いすることになった。
結局、怖い話は起承転結とすれば、「結」が大事なのだ。皆さん、「転」に対して「うわー」とか「お前だ!」とか怖がらせようとするが、外した時は最悪の事態になる。
これをフォローするMCがとても大事で、トークショーの時はこれを重んじて私が司会することにしている。
以前、峰竜太さんのラジオで、私が怪談をした。それなりに怖かったそうだが、途中で女性の笑い声がした。
だけど誰も声を出した人はいない。
関係ないとは思うが、その番組はその月に終了となった。
私がどうというわけではないが、そのラジオ局自体、スタジオといい、閉鎖的な空間だったのは覚えている。聞くとその場所は元々——
こう話すと、みんな一生懸命聞く。これが約10分間。初めて会う人も引き込まれる。
これこそが大事なのだ。まさに「結」での展開「あの不幸は、実は関連あったかも」の怖い話のほうが背筋が凍る。
あとプラスすれば、本当の話をすることだ。歴史は変えられない。
それならそういう霊もいるだろう、と誰もが納得する。
一番よくない怪談は、「こういう幽霊を見た。だが誰もその理由についてわからない」とする怪談。本でも意外に多い。「結」が甘いのだ。
脚本でいえば10分間は400字10枚のシナリオ。
私は脚本を学んでいるので、どこでどう展開すれば人が話を聞くのかはわかっている。
ところで、会話が10分続くのは、ビジネスにおいても重要で、雑談学なんて人気書籍もあるが、相手に覚えてもらうのが大切な営業の人などには有効。
いまや怪談はビジネス本、退院祝いには「怪奇(快気)本」として渡せば気に入られるだろう。ぜひ有効活用していただきたい。
怪談は誰も傷つけないし、誰も言葉を差し込まない。そして忘れない。
だが、気を付けないと本当に霊に飲まれることもある、と最後に言うことだ。
さらに相手をぞっとさせて、むしろあなたにカリスマを感じるだろう。
とはいえ、あまり霊を使ってバカにしたら天罰は下る。私も様々な怪談について取材するが、皆さん本気だ。
霊を信じる情熱みたいな生霊というか魂がある。これをないがしろにしたらとんでもないことになるのは分かる。だから、霊の目撃談は全て信じる。
人の心というものが一番人の運命を変える。これを「嘘」とののしった人に、良い運は巡らないだろうと思う。
人の怪談は真面目に聞くのが大切だ。私の司会トーク以外は。
すべらない怖い話はつまり、
「結末でじわじわ追いつめよう」
ということだ。
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