科学者たちが老化を制御する分子経路を発見したことにより、人間の寿命を延ばせるかもしれない可能性が出てきた。
クッペル様転写因子(KLF)として知られている分子経路は、増加または減少させることにより、潜在的に動物の寿命に影響を与えることが出来る。ケース・ウエスタン・リザーブ大学医学部の研究者が、哺乳類に類似したタンパク質を保有し、生物学的研究材料として非常に優れているとされるカエノラブディティス・エレガンス(線虫の一種)のKFLを人工的に改編したことで分かった。
論文の第一著者であるネルソン・シェイ博士はSci Newsに次のように語った:「クルッペル様転写因子(KLFs)と呼ばれるタンパク質ファミリーレベルを人工的に増加したり減少させることで、C.エレガンス(線虫)の寿命が延びたり、短縮することが分かりました。」
「哺乳類にも同じタンパク質ファミリーが存在することから、我々のデータはKFLsが哺乳類の老化に対しても同様の効果があることを示しているのです。これは非常に興奮すべき結果です。」
研究者らによれば、KFLレベルの高い線虫は、一般的により寿命が長く、またより健康的だったといい、ネズミにも同様の結果が見られたという。
その結果、研究者たちは、KLFタンパク質の機能は、加齢に伴って蓄積する分子副産物を細胞が分解する、オートファジーを制御することにあると判断した。
通常、細胞が老化してくると老廃物を除去する機能が低下し、細胞の生存が脅かされてくる。そこでKLFレベルを増加することにより、より長期間、細胞にその機能を維持させることができると研究者らは考えている。
シェイ博士はこう付け加える:「人の老化に伴い、我々の心臓や動脈に何が起きるのか理解する必要があります。それらが完全に機能することに我々の命は依存しているからです。」
「我々の発見は、老化時に起こり得る現象に光を当て、老化プロセスを遅らせるための介入措置となる基盤を提供することになるでしょう。」
同論文の著者の1人ムケシュ・K・ジェイン教授は:「KLFレベルは年齢と共に低下しますが、KLFレベルを維持出来れば、老化に伴う血管機能の損失を防ぐことが出来ることが観察によりわかりました。その結果、興味深いことに血管機能不全が、老化に関連した多様な症状、例えば高血圧症や心臓病、痴呆に大きく影響していることが分かったのです。」
なるほど。そのKLFsレベルを維持出来るようになれば、老化は止めることが出来るということか。どこまで人間の寿命が延びるのか、今後の研究に期待したい。
【ソース:Daily Express】