人はなぜブツブツを怖がるのか?「集合体恐怖症」の本当の原因に新説!

人はなぜブツブツを怖がるのか?「集合体恐怖症」の本当の原因に新説!

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「トライポフォビア」(日本では集合体恐怖症と呼ばれている)とはよくインターネット上で話題になる恐怖症の一つである。トライポフォビアとはギリシャ語の「trypo(穴あけ)」と「phobia(恐怖症)」という語を組み合わせた語で、ブツブツとした小さな穴に恐怖を感じる症状である。この用語は2009年頃に海外のある学生が自身の恐怖症の診断名としてFacebookページで使用して以来爆発的にネット上に広がった。

 

トライポフォビアという用語は「アメリカ精神医学会」にも正式な恐怖症としては認知されておらず、世の精神科医たちの間では本当にそんな恐怖症があるのかといった議論が交わされ、単なる特異体質だと結論づける者もいた。

 

2013年、英エセックス大学の研究者2人が初めてこの変わった恐怖症について研究を行った。結果、286名中16%の被験者がブツブツとした模様に強い不安感を示すことが分かった。そして、これは蜘蛛やヘビ、サソリなどいわゆる危険な有毒生物がこうしたブツブツとした紋様をしていることが多く、不安感はそうした危険生物への防御反応だと理論づけた。

 

しかし今回、英ケント大学で新たな研究が行われ、この特定の恐怖症の真の原因は、人間が持つ「感染症や病原体に対する防御反応」であることが分かった。

 

つまり、小さな穴の集合体に恐怖感を感じる人々は、寄生虫や、人から人へと簡単に感染していく感染症に対する不安を抱えているというのだ。研究者たちは天然痘や麻疹、チフスなどに見られる症状(小さな穴の集合体のような症状)が、日常的な物の中に見られる穴の集合体に対する過剰な反応、トライポフォビアを引き起こしていると主張した。

 

<仮説検証>
仮説を検証するため、トライポフォビアを自覚する300人と、トライポフォビアを自覚したことはないとする大学生300人の被験者を集め、ある実験を行った。両グループにそれぞれ16枚の画像-8枚は感染症の症状でブツブツができた身体の一部の写真、8枚は感染症とは全く関係のない、ハスの実やブロックにドリルで開けた穴などの写真-を見せるというものだ。

両グループとも人間の感染症写真には嫌悪感を感じたが、人間以外の写真に嫌悪感を感じたのはトライポフォビアを自覚するグループだけであった。また、感染症写真にネガティブな反応を示した人たちは、恐怖感よりも、嫌悪感と虫唾が走るような感覚を強く感じていた。被験者たちが恐怖感よりも、圧倒的に嫌悪感を示したことから、研究者たちは以前トライポフォビアの原因として理論立てられていた危険生物への恐怖感というよりは、感染症への嫌悪感・不快感のほうがこの恐怖症に寄与する可能性が高いと結論づけた。

 

「嫌悪感が感染症や病原菌から自身を防御する術になることはよく知られています。」と研究者のトム・カプファー氏は言う。「これら感染症画像への反応は、病気への防御反応といえるでしょう。」(同氏)

 

【ソース:National Geographic
【ソース:UNEXPLAINED MYSTERIES

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