米ニューヨークの元世界貿易センターとほぼ同サイズの巨大小惑星が地球衝突コースを辿ってくる可能性がある。この小惑星、不気味なことに元世界貿易センターと共通するのはサイズだけではない。なんと小惑星ベンヌが発見されたのは9月11日。そう、アルカイダによるテロ攻撃があった日付である。
正式には101955ベンヌと命名されているその小惑星は時速約10万キロというとてつもないスピードで宇宙空間を疾走しており、専門家たちは790億kgもあるその巨大な岩石が地球に衝突した際の大惨事を警告している。
1999年にベンヌを発見した天文学者らはそのサイズを直径約492mと見積もっており、それは元世界貿易センターの北および南タワーとほぼ同サイズを示す。また、その重量はかのタイタニック号の1,664倍はあるが、天体規模でいえば比較的小さいといえよう。
とはいえ、ベンヌの移動速度から考えて、万が一地球に衝突した場合は甚大な被害を招くことになる。幸いにも、専門家の試算によれば実際に小惑星が2135年9月25日に地球に衝突する可能性は2,700分の1と僅かだ。だが小惑星が進路を地球衝突コースに変えた場合、衝突を防ぐために出来ることは殆どないとNASAは警告する。
NASAは小惑星衝突を防ぐために、Hypervelocity Asteroid Mitigation Mission for Emergency Response機(緊急対応用極高速小惑星緩和ミッション機:HAMMER)により、小惑星の軌道を変えるか、核により粉々に破壊することを期待して設計されたハイテク小惑星迎撃船の実験を行っている。
しかし、ベンヌのサイズ的に軌道を変えるという選択肢は排除される。また、核兵器により小惑星を破壊することは、すなわち地球上に放射性物質を含んだ塵と小さな岩石の雨を降らせることに繋がるのも事実だ。
約6,500万年前に地球に衝突に恐竜絶滅を引き起こした小惑星は101955ベンヌよりはるかに大きいものであった。その影響として、数十年に渡り太陽光を遮り気温を下げる核の冬が訪れた。
ベンヌはがここまで大規模な破壊をもたらす可能性は低いが、広島に投下された原子爆弾の8万倍の1,200メガトンの威力でもって爆発する力を秘めている。
小惑星衝突の壊滅的な結果の可能性について報告書を共同執筆した、米カリフォルニア州ローレンス・リバモア国立研究所の物理学者クリスティン・ホーリー氏は以下のように語る。「衝突する確率は現在は非常に低いですが、万が一衝突した場合の結果は悲惨です。」
「研究により、万が一はっきりと差し迫った危険が訪れた際、それに対応する時間を短縮させ、危険回避のための多くの選択肢を持つことができるのです。最終目標は、地球上の生命を守る準備を整えることです。」
【ソース:Daily Express】