オランダを拠点とする企業「スペースライフ・オリジン」は、人類にとっての究極の保険、そしてプレッパー(とんでもない非常事態に備える人々の総称)にとっての壮大な夢がいよいよ実現すると発表した。安全な宇宙環境下での生殖と出産だ。
スペースライフ・オリジンは「地球外でのサステナブルな生活を可能にする」という高い目標の元、「ミッションプログラム2020-2024」と称したミッションを10月23日に発表した。
「人類が複数の惑星で生息できるようになるには、宇宙環境で生殖する方法を学ばなければならない」とスペースライフ・オリジンのCEOキース・モルダーは語る。
同社は2024年までに4ステージミッションのうち3ミッションを完了することを目標に掲げており、36時間かけて行う初の宇宙環境下出産を成功させる予定だ。
「ミッション方舟2020」
ステージ1ではまず、世界中の体外受精センターから集められた男性と女性の生殖細胞で満たされた放射線遮蔽チューブ1,000個を軌道上に送る。地球上の安全な場所で保管されたチューブを人工衛星に搭載し、万が一地球上でアルマゲドンでも起きた時に備えた人類の保険として地球軌道上に送られる。
「ミッションロータス2021」
次の段階では、独占技術である「宇宙胎芽インキュベーター」を軌道上へ送ることだ。
この装置にはあらかじめ男性と女性の生殖細胞が入っており、宇宙に到達後自動的に受胎するように出来ている。
無重力環境下で起こり得る問題を可能な限り排除するため、装置内は地球と同じ重力が再現できるようになっている。装置を乗せた機体自体は地球、月、そして火星それぞれに近い重力が再現できる造りになるとのことだ。
その後、受胎から4日後にインキュベーターは地球に戻され、胎芽の生育力を確認。
この段階では実際の妊娠・出産は地球で行われる。
「ミッションゆりかご2024」
3段階目のステージが最も大掛かりかもしれない。24時間から36時間のミッションで、妊婦が地球上空400kmの場所で世界最高峰の医療チームのサポートのもと、初の地球外出産を行うのだ。
「これは赤ちゃんにとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である」とスペースライフ・オリジンズの戦略及び改革チーフのEgbert Edelbroaek医師はニール・アームストロングの言葉を引用して話す。
当ミッションそのものも、かなり厳しいミッションとなるが、その被験者の選定もまた厳しいものになりそうだ。母体及び胎児へのリスクを極限まで減らしミッションを成功させるため、被験者は2人のスムーズな出産を経験した経産婦である必要がある。被験者の選定は2022年に開始する予定だ。
人類初となる、宇宙環境下での健康な赤ちゃんの出産の成功後は、2032年までに「地球外人類」という世代を作り出す計画だ。
「なぜなら次の100年で地球は非常に過酷な状況に陥るから」
もしかしたらあと数十年後には宇宙生まれ、宇宙育ちという世代が誕生しているのかもしれない。
【RT.com】