【By:ajonverge:インド】
これは父が1980年代後半に体験した話です。今は亡き父が数年前に話してくれました。
80年代当時、父はテレビ技師で毎晩夜遅くにバイクで帰宅していました。その頃住んでいた家は大通りから少し入ったところにあった為、バイクを駐輪して1・2分歩く必要がありました。
バイクを駐輪する場所をそのまま真っすぐ行くと、線路があり、線路の目の前に火葬場がありました。80年代当時は、まだまだ人口もまばらで、人々は夜早く寝てしまったため、夜11時というともう真っ暗で外は誰もいないような時代でした。
ある寒い夜、深夜を過ぎた頃でしょうか。父が帰宅するためバイクを走らせていると真夜中にも関わらず、何故か赤い婚礼用のサリーを着た若いインド人女性が立っていて、「ある場所まで乗せていって欲しい」と聞いてきたそうです。こんな時間に奇妙だなとは思ったそうですが、元来困っている人は放っておけない父でしたので、乗せてあげることにしたそうです。父はバイクを走らせながら女性に話しかけたりしてみたらしいのですが、お喋りを楽しむ気分ではなかったのか、行先の方向指示をする以外、一切その女性は話さなかったそうです。
途中で、父は女性が私たちの自宅と同じ方面を目指していることに気付きました。そして例の線路まで来たときのことです。踏切の遮断機が下り、電車が来ようとしていました。すると、女性が突然「ここで大丈夫です。私の家は線路を渡ったすぐのところですので」と言ってバイクを降りたのだそうです。父は「わかりました。では時間も遅いですから、あなたが家に無事入るのを見届けてから私は行くことにしますよ」と言って、バイクを線路の横に停め、煙草に火を付けて電車が来るのを待っていました。そして電車が踏切に差し掛かった瞬間・・・!
その女性はいきなり踏切に進入し、電車をすり抜けて火葬場へと歩いて行ったのです。通り過ぎる電車のライトに女性のシルエットが浮かび上がり、電車が通り過ぎると、彼女は火葬場へと消えていったのだそうです。
あまりの恐怖と衝撃に父は吸っていた煙草を捨て、すぐにバイクに乗って急いでその場を立ち去り、いつもの場所にバイクを駐輪すると走って家に逃げ帰ったそうです。そのことについて、父は数年前に話してくれた時まで一切口にすることはありませんでした。火葬場に消えていった女性は一体何者だったのでしょうか。特に父に危害はありませんでしたが、恐怖体験をしたことは事実です・・・。
【ソース:Your Ghost Stories】