警視庁昭島署(東京都昭島市上川原町)に保管されている、旧日本陸軍の航空施設跡地から発見された爆弾のような金属球体3個。詳細がわからず長らく処分に困っていたが、産経ニュースが報道したところ、全国から産経新聞や昭島署に多数の情報が寄せられた。情報を集約した結果、昭島署は球体Xを「航空機の夜間離着陸用誘導灯」と認定。担当者は「こんなに速く詳細が判明すると思っていなかった。情報提供に感謝します」と話している。
平成27年11月17日、昭島市中神町の工事現場から発見された直径約15~20センチの謎の金属球体3個が、警視庁昭島署に届けられた。この工事現場は、旧日本軍の立川陸軍航空工廠や、米軍立川基地(キャンプ・フィンカム)など軍施設の跡地だった。
当初、この金属球体は不発弾ではないかと思われていたが、調査をした自衛隊朝霞駐屯地は「不発弾ではない。詳細不明」と回答。内部から液体が入っているような音がするため「毒ガス」、芯(しん)があるため「軍用のランタン」などさまざまな憶測を呼んだ。
工事現場の土中から発見された物品は、危険物や文化財などではなく、かつ土地の所有者や発見者が権利を放棄した場合、ごみとして処分される。しかし、詳細不明の物品では適用法令がないため、長らく「何ごみとして処分したらいいかわからない」(昭島署の担当者)状態に陥っていた。
産経ニュースが2月、金属球体について記事にしたところ、読者から多くの情報が寄せられた。「昭和20年、本土決戦が迫ったころ、川崎市溝口にあった東部第62部隊で、同じ形状のものを見たことがある。それは陶器製で、内部には青酸化合物の液体が入っている『対戦車兵器』だった」「焼玉(やきだま)エンジンの焼玉部分だと思う。高齢の船舶整備士が詳しいのではないか」「ロケットやミサイルの推進用タンクの可能性がある。スペインやベトナムでも同型のものが発見されている」…。戦前に立川陸軍航空工廠で実際に働いていた男性からの証言もあった。
昭島署は情報を集約し、資料写真などを見比べた結果、金属球体を「ヴィンテージ・ロードフレア」や「ノーベルランプ」と呼ばれる「航空機の夜間離着陸用の誘導灯」と判断した。中に灯油を入れ、突起部分に火をつけて、滑走路上に等間隔に置いて使っていたという。球体なのは「離着陸に伴う風でバランスを崩さないようにするため」(情報提供者)。
立川陸軍航空工廠には滑走路も併設されており、そこで使われていたものではないかと推察されるという。情報提供者には海上自衛隊のOBが多く、戦後の硫黄島で使ったという話もあった。昭島署担当者は「やっと詳細がわかって安心した」。今後は、ごみとして処分される予定だという。
【ソース:産経ニュース】
【日本で見つかった正体不明の金属球体「X」】
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