人間には、時折摩訶不思議なことが起きるようだ。スペインの囚人ゴンザロ・モントヤ・ヒメネス(29)が、刑務所で朝8時に「死亡」と判断された数時間後、病院の霊安室で検死解剖の前に突如目を覚ましたというのだ。
ヒメネスは、刑務所内でも凶悪犯罪者が収監されている区画で、朝の点呼に顔を見せず、看守が確認した時には既に死後硬直が始まっており、脈もなかった。前日に具合が悪いと言って椅子に倒れ込んだことや、特に怪しい点なども見られなかったことから、3名の医者の合意のもと「死亡」と判断された。
その後、ヒメネスの身体には解剖をするためのメスを入れる箇所の印が付けられ、遺体収容袋に入れられた状態で病院の霊安室に安置された。そして、解剖の数時間前に突如蘇生したのだ。医師たちによれば、「仮死の非常に珍しいケース」らしい。
刑務所側の発表によれば、ヒメネスは確かにチアノーゼが出ていたという。ところが、遺体収容袋に入れられた後、昼頃に検死解剖を行う手術台の上で医師らが「遺体」が動くのを確認、さらにヒメネスの「いびき」を聞いたというのだ。
目が覚めたヒメネスの第一声は妻のことを気遣う言葉で、妻に会えるか聞いたそうだ。
囚人ヒメネスの親族は刑務所側に対し、彼の死亡確認を行ったのは医師一人だけで、他の2人は自らの職務を怠り、ただ書類に署名しただけだと主張し、非難している。本来、囚人の死亡届は、3名の専門家(医師)により死亡確認がされなければならない。
今回の奇妙な蘇生について考えられる理由として言われているのがカタレプシーである。緊張病症候群の一つで、意識障害に基づくものだ。混迷状態のときに見られ、患者は受動的にとらされた姿勢を保ち続け、自発的に戻そうとしない。
また、バイタルが非常に弱くなり、脈もほぼ触れなくなるため、「死亡」と誤診されやすくなるケースがあるという。
いずれにせよ、解剖が始まる前に蘇生して本当によかった。メスが入った瞬間に蘇生しようものなら・・・想像するだけで恐ろしい。
【ソース:DAILY STAR】