「ザ・バズビー・ストゥープ・チェア」をご存じでしょうか。
座った人は全員が死んでしまうといわれている呪いのイスです。
事の始まりは1702年。イギリスの北ヨークシャー州にあるサースク村というところに住んでいたトーマス・バズビーは、義理の父であるダニエル・オーティを殺害し、絞首刑に処されます。
殺人犯として生涯を閉じた彼ですが、生前に大切にしていた宝物があり、それはイスでした。
暇さえあれば、そのイスに座り、昼寝をするなど、とにかく彼はイスを大事にしていたのです。
彼が死んだあともそのイスは破棄されることなく残り続けました。
月日が経つにつれて、彼の呪いがかけられているというウワサとともに。
処分されることのなかったイスは、妻が経営する「バズビー・ストゥープ・イン」というパブに置かれました。
殺人者の宝物、座ったら呪われるなど、様々な話題が重なり、パブの客たちは面白がって座る人が多くいたそうです。
そしてその呪いは本物となっていくのでした。
第二次世界対戦のまっただ中、パブで酒を飲んでいた兵士たちは、イスの話を聞き、面白がって座ったところ、数日後に全員戦死したのです。
しかし、これは呪いの始まりにすぎませんでした。日ごとに有名になっていくイスは、いつしか若者たちの度胸試しの道具として扱われるようになりました。
ある日、パブで酒を飲んでいた20代の空軍のパイロットは、「俺はそんな呪いなんて信じないよ。」と、軽口を叩きながらそのままイスに座りました。すると数時間後、彼は交通事故でこの世を去ってしまったのです。
またある日は、建築作業員の男が仲間の制止を振り切ってイスに座ったところ、翌日の作業中に屋根から転落、首の骨を折って死亡しました。
バズビーが死んで300余年。分かっているだけでも63人が座り、その全員が、座ってから短期間で死亡しています。
これ以上の犠牲者を出さぬよう、イスは地元の「サースク博物館」のビクトリア朝コーナーに展示されています。誰も座ることがないよう、天井からロープでぶら下がりながら…。
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