臨死体験をしたある男性がその経験を「まるで時が止まったようだった」と話し、なおかつ亡くなった彼の母親が横に立って見ていたと証言した。
デイビッドと名乗るこの男性は、心臓発作による一時的な心停止に陥り、その際亡くなった母親にまだこの世に留まるべきだとのメッセージをもらったような気がするというのだ。
デイビッドは「全てがいっぺんに起きているような、時が止まり全ての意味を失ったような感覚だった。時など関係ないような感覚で、物事は前に進むんだけど、それは「時」とは別なんだ」と語る。
しかし、奇妙なのはそこではない。臨死体験中彼は自身がストレッチャーに乗せられているところを上から見ていたのだが、医者が施している治療ではなく、横たわる自分の横に座る、数ヶ月前に亡くなったはずの母親の姿を見たのだ。
母親は取り乱すわけでもなくただ静かに落ち着いた様子でそこに座り、デイビッドに語り掛けてきたという。起きていることについて何かを変えることは出来ず、起きていることの全ては母親がコントロールできることではないと。
「母はわたしに、何が起ころうとも一人ではない。なぜなら母が常にそこにいてくれるからと言ってくれました。」
そして実は周囲の人々もその時デイビッドが体験していたことを薄々分かっていたようだ。
というのも、デイビッドはまだ意識が朦朧とする中、看護師にノートを取ってくれるように頼んだのだ。
「看護師がベッドサイドテーブルの引き出しからノートを取り出して絵を見せてくれたんです。看護師が言うには、病室に入った直後私は朦朧としながらも何か書くものを求めたんだそうです。」
「私が説明するまで看護師は何の絵が分からなかったそうですが、それは救急車の中で起きたこと、つまりストレッチャーに乗せられた自分と、そのすぐ傍にいる母の絵でした。」
臨死体験をして「あの世」を見た経験をした人と、そうでない人では睡眠パターンに大きな違いがあると科学者は語る。
自動車事故や心臓発作などで「命の危険がある瀕死の状態」を経験し、臨死体験中に身体から抜け出た感覚や警戒心を感じたり、眩い光を見た経験をした55名の人物を調査したところ、臨死体験をした人の多くは、REM侵入と呼ばれる状態になり覚醒状態なのか夢なのか認識しにくくなるという。
つまり結局のところ臨死体験者が経験した死後の世界は夢だったということなのだろうか。
だとすれば臨死体験者の多くが語る内容に共通点があるのはなぜなのだろう。
まだまだ臨死体験にはなぞが多い。