チリ領の太平洋上に位置する、面積約163.6㎡の小さな火山島イースター島は、謎に包まれた島である。島に存在する大きな頭の奇妙な石像(モアイ像)と、当時の先住民の絶滅は今でも興味と困惑の両方の感情を呼び起こすミステリ-である。
しかし最近、ニューヨーク州ビンガムトン大学の研究者たちにより、長年謎だったモアイ象の向きに関してその答えが発見された可能性が浮上してきた。
これまでの定説では、島の象徴的な石頭が向いている方角とその起源は宗教的な意義があったとされてきた。しかし新しい研究結果はこれらの石像が飲み水の水源を指し示すために利用されてきた可能性があることを示している。
小川や川が不足しているこの島では、住民は淡水の確保を主に島の沿岸地域に沿った地下水の排出に頼っていたと考えられている。
「幸いなことに、地下水は土地の低い方へと流れ、最終的に地下の多孔質岩から海に直接排出されます。」とカール・リポ教授は述べる。
「潮が引いている時は淡水が直接海に流れ込むため、人々はこれらの水源を利用して淡水を取水していたのです。」
そしてモアイ象はピンポイントでそうした淡水の取水地を指していたのではないかというのが教授の主張だ。
「淡水の水源がわかってきた今、石像の場所とその機能(向き)は淡水の取水地を示していたと考えるのが最も筋の通った説です。」
「石像は淡水が取水できる場所に位置しているのです。」
なるほど・・・確かに淡水の確保が難しい島ではその場所を示すことは重要なことだったかもしれない。が、そのためだけにこれだけの石像を造ったのかと思うと、やはりイースター島の先住民は謎めいている。