アドルフ・ヒトラーの死についてこれまで、歴史家たちの間でも自殺だったのか、ソ連軍の手にかかったか非常に議論が分かれるテーマだった。しかし今、驚くべき発見により、ヒトラーに実際何が起きたのかが分かってきた。
モスクワに残る、アドルフ・ヒトラーのものと思われる遺骨を調査しているフランスの研究チームは、歴史的な証拠を発見したと考えている。
フィリップ・シャルリエ教授が、ベルリンの陥落からおよそ20年後に収集された歯を綿密に調査してきた結果、その歯は「紛れもなく」アドルフ・ヒトラーのものだと主張しているのだ。
1945年4月30日に、ソ連赤軍が完全にベルリンを包囲した段階で、ヒトラーの第二次世界大戦での計画がもろくも崩れ去った。この日のヒトラーの死にまつわる状況に関しては複数の議論があるが、しかし殆どの歴史家はヒトラーが妻のエヴァ・ブラウンと共に自身の防空壕でもある総統地下壕で自殺を図った、ということで合意している。
ヒトラーの遺体はソ連軍により回収され、アドルフ・ヒトラー官邸の裏で焼かれ、ぞんざいに処分されたと言われている。
ところが陰謀論者の一部は、このドイツ独裁者の最後は全く異なるものなのではないかという懸念を抱いてきたのだ。その衝撃的な仮説は潜水艦でアルゼンチンに逃亡した、ロサンゼルスで国外駐在員として生き延びた、はたまた南極大陸に秘密基地を造って密かに生きているなど、様々だ。
しかしヒトラーの炭化した遺骨から収集した義歯を調査してきたシャルリエ教授は、この20世紀で最も邪悪な男は確かに1945年に亡くなっていると証明できると言う。
法医学の専門家でもあるシャルリエ教授は「歯は本物であり、疑いの余地もありません。我々の調査から、ヒトラーは1945年に亡くなっていることが証明されています。」
「これでヒトラーに関する全ての陰謀論を止めることが出来ます」
「彼は潜水艦でアルゼンチンに逃亡したわけでも、南極の秘密基地に隠れているわけでも、月の裏側にいるわけでもありません。」
シャルリエ教授と共同研究者に共著された研究内容は、5月18日に科学雑誌「European Journal of Internal Medicine」に掲載された。
ヒトラーの歯とされるものには、肉の繊維の痕跡が全くなかった。ヒトラーはベジタリアンとして知られていることからも納得がいく。
さらに、研究者たちは独裁者ヒトラーの金属義歯に、青い物質が付着していることを発見しており、それが死ぬ直前に摂取した青酸カリとの化学反応によるものだと示唆している。
シャルリエ教授のチームは、銃弾が頭部を通過した穴を調査するためヒトラーの頭蓋骨を調査する機会にも恵まれたが、残念ながらより詳細な調査をするために遺骨サンプルを持ち出す許可は得られなかった。
シャルリエ教授はきっぱりと、ヒトラーの死因は青酸カリによる毒死と拳銃自殺の両方だと断言する。「我々は、彼の死因が青酸カリだったのか、それとも頭に撃たれた銃弾だったのか分からなかったのですが、結局のところ、両方なのでしょう。」
1946年以来、この研究のために研究者らがロシア連邦保安庁と公文書館によりヒトラーの遺骨とされるものを調査できるようになったのは初めてのことである。
1970年4月、KGB(ソ連国家保安委員会)はヒトラーと妻のブラウンの遺骨を発掘し、さらに焼却し粉砕した後、ベルリン西部のビーデリッツにある川で処分したため、現在残っているのは頭蓋骨の一部と顎の骨だけであった。
【ソース:Daily Express】