2015年にヨーロッパファイアボールネットワークが観測したおうし座流星群由来の144個の火球について、詳細な分析結果が発表された。2015年におうし座流星群を活発化させた明確な軌道構造を持つ流星体の支流には、200m~300mほどの巨大小惑星が少なくとも2つ含まれていたのだ。
まだ発見されていない巨大小惑星
地球は数年に一度活発におうし座流星群を出現させる流星体の支流と遭遇するが、そこにはまだ発見されていない10mいや、それ以上の小惑星が含まれている可能性があり、それが地球に衝突すれば大変なことになる。
おうし座流星群は年に4回(2回は9月末~12月にかけて、2回は5月~6月中旬にかけて)流星群を発生させる。流星群の母彗星はエンケ彗星だと考えられている。エンケ彗星は巨大な一つの彗星だったものが数千年前に分裂した破片であり、その分裂したものが数多くの小惑星を含むおうし座流星群複合体を形成していると言われている。
例年以上に活発なおうし座流星群
おうし座流星群は例年以上に活発になっており、通常よりも火球の出現率が高い。流星群の活動が活発化した際に144個の火球について分析したところ、113個の火球の軌道は一般的な軌道を示し、明確な軌道構造を形成した。
出現した大量の流星体の大きさは0.1g~1000㎏までと幅広い。300g以上あった流星体は非常に脆く、それより小さなものは30gほどであった。
数百mの大きさがある一部の小惑星
火球データは、おうし座流星群流星体の新たな支流の中に、直径数百mサイズの小惑星が含まれていることを示している。それは小惑星2015TX24や2005UR、2005TF50である可能性が高い。
発見されたおうし座流星体の支流は数mmの塵から数百mもある小惑星から成り立つ集合体であり、太陽の周りを周回している。そのため、数年に一度地球がこの集合体の流れに約3週間ほど接近する。すると、数十m規模の流星体が地球に衝突する危険が高まる。これら流星体は非常に脆いが、その大きさゆえに万が一大気圏の中にまで突入してくると、地球上に局地的、または大陸規模の甚大な被害を及ぼす可能性があるのだ。
そのため、これら小惑星は何が何でも事前に発見する必要がある。低アルベド(反射能)を持つ暗い彗星体を発見するのは非常に複雑で困難であるため、発見には巨大望遠鏡と観測に最適な幾何学的条件が必要となる。
とはいえ、発見できたところで果たして何か出来ることがあるのだろうか・・・。
今年の「おうし座流星群」は呑気に見ている場合ではないのかもしれない。
【ソース:Disclose.tv】