ロシア科学アカデミーの応用数学者たちは、ヴォイニッチ手稿が母音以外は2つの言語で書かれていると結論づけた。
イェール大学付属バイネッキー稀書・写本ライブラリーに保管されているこの手稿は、1404~1438年の間に書かれた、挿絵入りの中世の写本(作者不明)である。
研究者たちは600年にも渡りこの奇妙な本の解読を試みてきたが、この手稿は最も頭脳明晰な者でさえ騙してきた。本の名称は、1912年にイタリア・ローマの修道院でこの本を発見した古書収集家でポーランド系革命家の、ウィルフリッド・ヴォイニッチ(1865-1930)にちなんでいる。
謎の文体以外に、手稿は200以上の挿絵があり、半分は植物の絵で、他にも薬学、生物学、天文学に関する絵が描いてある。そこから、学者達は本書の主な目的は中世の薬学書的なものではないかと考えていた。
このたび、ロシアの学者たちが文章を統計的分析にかけてみたところ、本書の暗号方法がわかってきた。まず、母音と間隔が文章から削られていた。そして記号の集まりが新しい文字列と結合されていた。文章の約60%は英語かドイツ語で書かれていることも分かった。残りはイタリア語・スペイン語・ラテン語で書かれていると考えらえる。
とはいえ、本書に描かれた種や野菜に見える挿絵から、チームの全員がこの本の内容に解読の価値があると考えているわけではないようだ。
「なぜ今日、この手稿の内容を理解することが重要なのか私にはわかりません。挿絵から判断するに、これは1年のうちでいつケシの実を蒔いたらアヘンが取れるのかを説明しています。」と研究の共著者であるYuri Oriov氏は語っている。さらに、母音が削れられている状態で本書全体を解読するのは不可能だという。なぜなら、最も重要な単語に何通りもの訳が考えられるからだ。
過去にはCIA(米:中央情報局)やNSA(米:国家安全保障局)が手稿の解読に取り組み、失敗した。暗号学者のゴードン・ラグ氏などは、手稿は全く意味をなさず、ただのデタラメかもしれないとさえ推測していたほどだ。
結局のところ、謎は謎のままらしい・・・。
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