見聞録3「異星人の姿① 金星人…太陽系人たちの登場」

見聞録3「異星人の姿① 金星人…太陽系人たちの登場」

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「美しい星」で改めて注目される太陽系人

三島由紀夫が1962年に発表した『美しい星』という小説をご存知だろうか?当時としてはかなり異色の作品だが、半世紀以上を経てついに今年(2017年)映画化された。原作でも映画でも共に注目すべき点として挙げたいのは、異星人たちが金星や火星など、私たちの太陽系を起源としている点である。現代ではUFO研究者たちが見向きもしない「珍説」の部類に入る設定だが、当時はかなり有力な説の一つであった。それはなぜなのか?まずは戦後から始まるUFOの歴史を見ていこう。

 

1947年・アメリカ本土に空飛ぶ円盤が現れる

・1947年6月24日 米ワシントン州にてケネス・アーノルド事件発生。謎の編隊が目撃され、「Flying Saucer(空飛ぶ円盤)」と名付けられる。
・1947年7月8日 ロズウェル事件。米・ロズウェル陸軍飛行場がFlying Diskを回収したとプレスリリースを発表。
奇しくも1947年6-7月のごく短い期間に集中した「空飛ぶ円盤」報道によってアメリカだけでなく、世界中が空を見上げるようになった。しかし、最初の目撃報道から数年経っても目撃は増えるばかりだが、その正体は一向に不明だった。そこに終止符を打つような書物が1953年に発表された。それが『Flying Saucers Have Landed(空飛ぶ円盤は着陸した)』だ。

 

1952年・金星人がカリフォルニアの砂漠に降り立つ

著者はジョージ・アダムスキーというアメリカ人で「アダムスキー型円盤」と言えばもうお馴染みだろう。彼は1952年11月20日に体験した内容を実名で発表し、空飛ぶ円盤の起源とその目的について最初に提示した人物だ。注目すべき点は、アダムスキーがカリフォルニア州の砂漠地帯でコンタクトした「金星人」だが、その姿は人間と全く変わらなかったことだ。翌年この体験記が発表されると世界中から「私も金星人に会った」「火星人を見た!」などと主張する人たち、すなわち「コンタクティ」たちが数多く登場した。こうして1953年以降、空飛ぶ円盤を信じる人たち、そして研究家たちでさえも人間と変わらぬ姿である金星人等の「太陽系人」を受け入れていくことになる。

 

これも異星人と呼べるのか?「放浪者」の実態とは

アダムスキーと金星人のコンタクトの模様を遠くから見守る集団の中にジョージ・ハント・ウィリアムスンという人類学者がいた。彼は金星人の足型の石膏を取り、そこに記された謎の文字(図形)を解読した『Other Tongues Other Flesh(宇宙語・宇宙人)』を1953年に出版している。彼は足跡という証拠からも金星人は肉体を持つ生命体であると断定しているが、一方では他の遊星から遊星へと霊魂が転生して地球人として生まれている集団、すなわち「放浪者」の存在を著書の中で紹介している。その数、じつに144,000人が両親を選び地球に転生したというのだ。また、興味深いことに退行催眠の研究で有名なイギリスのアレクサンダー・キャノン博士によると、地球人として生まれる以前、金星で生活していたという記憶を有する人が実に1400名以上もいたという話も残されている。

 

霊魂によって転生してくるか、肉体のまま地球にやってくるか

霊魂だけが金星などの惑星から転生してくる「放浪者」という説は突拍子もない説だったわけではないらしく、同年代の別な著名なコンタクティ「ハワード・メンジャー」も妻のコニーが金星から転生してきたと主張していた。またアダムスキーがコンタクトした金星人ですら、過去には地球で生まれていたことを示唆したという。このように1950年代から60年代にかけて信じられるようになった「金星人」をはじめとする太陽系人たちのタイプを大別すると以下のようになる。
・他の惑星で生まれ、肉体のまま円盤に乗って地球にやってくる「異星人」
・他の惑星の霊魂が地球人に転生してくる「放浪者」
それぞれのタイプにしてもそれが真実であるかどうかを証明することは今も昔も変わらず難しい。しかし、これらの説が当時の日本でも受け入れられていた証拠が冒頭で触れた三島由紀夫の小説『美しい星』とも言えるだろう。小説に登場する「火星人」「金星人」「水星人」などの太陽系人たちは果たしてどちらのタイプなのか?原作を読むか映画館で是非とも謎解きをして楽しんで欲しい。

 


左:金星人とコンタクトしたというハワード・メンジャー。右:金星人だった記憶を思い出した妻のコニー

 

金星人説を最初に発表したのは他にいる

ところでこの金星人などの太陽系人説だが、これはアダムスキーなどコンタクティたちの専売特許ではない。実は18世紀に活躍した科学者・神学者・神秘主義思想家として名を残すエマヌエル・スウェーデンボルグ(1688~1772)が『Earths in the Solar World(1758年・邦題:宇宙間の諸地球)』という著作の中ですでに金星人などの各惑星人たちと交流し、その姿や性質などの詳細を発表していたのだ。これが後のコンタクティたちに多大な影響を与えたことは間違いない。興味深いその内容は次回に譲ることにしよう。

 


珍しいスウェーデンボルグ著『宇宙間の諸地球』の1958年初版本

 

<参考文献>
・三島由紀夫(1962)『美しい星』新潮社
・Desmond Leslie/George Adamski(1953)『Flying Saucers Have Landed』
・ジョージ・ハント・ウィリアムスン(1953)『Other Tongues Other Flesh』『空飛ぶ円盤ニュース』1961年2月号CBAインターナショナル
・『空飛ぶ円盤ニュース』1960年7月号CBAインターナショナル
・『空飛ぶ円盤ニュース』1960年3・4月合併号CBAインターナショナル
・エマヌエル・スウェーデンボルグ(1958)『宇宙間の諸地球』静思社

 

日本UFO調査・普及機構
代表 加藤純一
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電子書籍「UFO−飛翔体 遭遇とその軌跡」

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