警視庁昭島署(東京都昭島市上川原町)に、旧日本陸軍の航空施設跡地から発見された爆弾のような金属球体3個が、長期間に渡って保管されている。同署は自衛隊に調査を依頼したものの回答は「詳細不明」。不発弾ではないというが、処分しようにも詳細が分からないため手がつけられず、「分かる人がいれば教えてほしい」とお手上げ状態となっている。
謎の金属球体が発見されたのは平成27年11月17日、昭島市中神町の工事現場。作業中の男性会社員が、地下3メートルに金属探知機の反応があることに気付いた。かつては軍の施設があった土地だったため、慎重に掘削したところ、土の中から詳細不明の金属球体3つが見つかった。
見つかった球体のうち2つは直径約20センチ。表面に赤色の塗装がなされていたとみられるが、はがれて文字などは読み取れない。密封されており、中から「ちゃぷちゃぷ」とわずかに水音が聞こえるため、液体が入っていると推測される。
残る1つは直径約15センチで、金属劣化のために外面が破れ内部がむき出しに。内部をのぞくと、アルコールランプの芯のような太い綱が上部の突起部分からつながっている。いずれの球体も素材は鉄とみられ、かなりの重量があり、石油の臭いが強い。また、上部の突起物は手榴弾(しゅりゅうだん)の信管のように見えなくもない。
金属球体が出土した工事現場にはかつて、旧日本陸軍の施設があった。近隣の工事現場からは、たびたび古い機関銃の塊や焼夷弾(しょういだん)なども発見されている。昭島市都市計画部地域開発課の担当者によると、同所には大正11(1922)年、旧日本陸軍航空第五大隊が設置された。昭和13(1938)年に名古屋工廠(後の陸軍航空工廠)の機体・発動機部門が昭島に移転し、立川陸軍航空工廠となった。敗戦を迎えた20(1945)年からは進駐してきた米軍により約22年間、米軍立川基地(キャンプ・フィンカム)としての歴史を歩んできた。現在は法務省国際法務総合センターの建設予定地として開発が進んでいる。
金属球体は、他の危険物と同様に昭島署が回収。当初は不発弾だと思われ、同署は陸上自衛隊朝霞駐屯地に調査を依頼した。だが、丹念に戦前から戦後の爆発物リストを当たった結果、「不発弾ではない。詳細不明」との回答を得た。球体内部から水音がすることで、「毒ガスでは」とも推測されたが、これまで発見場所周辺で毒ガスが製造された事実は皆無。水音がする2つの球体については、液体とみられる物質の正体が不明で、どのような危険があるか分からないため、開封できないでいるという。また、不発弾でもないことから、陸自でも処分できないという。
同署は「喫緊の危険物ではない」という結論に達し、署内での保管を決めた。「芯があるため軍用のランタンか」とも推測されたが正体は不明のままだ。同署によると、工事現場の土中から発見された物品は、危険物や文化財などでなく土地の所有者や発見者が権利を放棄した場合、ごみとして処分される。しかし、今回のように詳細不明の物品は適用法令がなく、「何ごみとして処分したらいいか分からない」(担当者)。このため、いまだに同署地下室で紙袋に入れて保管されたままだ。同署の担当者は「いい加減、この球体が何なのか知りたい。正解を知っている方がいたら教えてほしい」と話している。
【ソース:産経新聞ニュース】
【謎の金属球体「X」ついに正体判明】
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