見聞録24 アブダクションケースの再考証 ~ヒル夫妻事件④~

見聞録24 アブダクションケースの再考証 ~ヒル夫妻事件④~

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アブダクションケースとヒル夫妻の比較

異星人によるアブダクション。地球人を誘拐するという異星人の行動は1950年代に勃興した人間タイプの友好的な異星人とは全く正反対であった。その筆頭とされるヒル事件のポイントを改めて紹介してきたが、それらは悉く現在語られるアブダクション事件とは異質であることがわかってきた。

 

:ベティ・ヒルは2004年に亡くなったが、晩年の2002年のMUFONの大会にも出席し、元気な姿を見せ、日本から出席したOUR-Jメンバーのインタビューに応えている。

 

 

<異星人の姿>

アブダクションケース=頭と目が異常に大きく、腕は長く、背の低い、いわゆるグレイタイプ。
ヒル事件=背は低いものの、モンゴロイド系人間と変わらぬ姿であった。グレイタイプとの決定的な違いは「瞳」があったことだ。

 

:ベティ・ヒルが自ら出版した「A Common Sense Approach to UFOs」には隊長の彫像写真があるが、グレイタイプとは全く異質である。

 

 

<宇宙船>

アブダクションケース=宇宙船の着陸の様子、またアブダクションされた地球人の搭乗の様子などの詳細はあまり語られず、断片的に宇宙船や基地の中での出来事が主な舞台となる。しかも、それぞれのエピソードが唐突で、現実か否か曖昧な部分が多い。
ヒル事件=ドライブ中に宇宙船を目撃、最終的には車から連れ出され、着陸していた宇宙船にタラップを使って搭乗している。50年代のコンタクトストーリーとさほど変わらず、その過程も明確である。

 

 

<異星人の接し方>

アブダクションケース=地球人を家畜か実験対象として見ている節があり、その延長で目的を明かし、感情に配慮して行動することはない。
ヒル事件=妻のベティは隊長と思しきリーダーと会話をしている。特に重要なのは、「ちょっとした検査をしたいだけだ」と宇宙船に乗せる前にその目的をベティに語っている点だ。

 

 

アブダクションケースとヒル事件の共通点

注目すべきエピソードは異星人の「本」だ。ベティはこの体験の証拠品として彼らの文字が記された「本」をもらったという!最終的には他の異星人たちからの反対があり、取り上げられてしまうのだが、隊長との会話、やりとりは生き生きとしており、こうした点もアブダクションケースとは一線を画している。一方でアダブダクションケースとの共通点は何だろうか?

A)時間・記憶の喪失感
共に出発点は一定の「時間」とその間の「記憶」に対する記憶の曖昧さからくる不安感がある。やがて時間・記憶が喪失していることを確信する。

B)何かの検査をされる
宇宙船か彼らの基地などで身体の検査をされる。

A)に関しては一見同じように見えるが、相変わらずアブダクションケースではその過程や意図が不明確だ。しかし、ヒル事件では異星人側が「ここでのことは知られたくない」とベティに述べて「君にはすべて忘れてほしい」と言った。その理由はこれらの体験を思い出しても「何もいいことはない」からだという。もしこの体験を一般に公表しても、ベティの「これはすごい体験だ」という感動に反して、この体験を聞いた地球人たちの反応がある程度予測できたのだろう。だからこそ証拠品である「本」をベティから取り上げたのも一貫した行動と納得できる。つまりベティたちを気遣った発言、行動だったのだ。しかし、会話や過程はどうあれ、ヒル夫妻も他のアブダクションケースと同じく、記憶を「消された」ではないか!という読者もいるかもしれない。

 

:ベティ・ヒル(2002年ニューヨークで開催されたMUFON国際大会にて撮影)

 

 

ヒル夫妻は記憶を「消された」のか?

しかしこの“永遠の古典”を改めて読み返すと、ベティは異星人たちによって記憶を「消された」のではないことがわかる。彼女が証言で心情を吐露しているように「隊長を喜ばせたかった」から秘密にしておいたのだ。別れ際に隊長が言った、「何もいいことはない」「すべて忘れてほしい」という願いに従っただけなのだ。ベティは言葉を変えて「忘れるべきという気がした」とも語っている。なお、夫のバーニーは車から連れて行かれる時から戻されるまで夢遊病のように目を閉じていたという。ベティによれば、目を閉じていたが、多少の意識はあったと推測していたが、逆行催眠ではその通りに様々な体験を思い出している。いずれにせよ実際には隊長の願いに応えたことで、ベティは心理的に圧迫され、悩み、それがきっかけで驚くべき体験を思い出してゆくのだが、その代償は世間の反応を見れば大き過ぎたと言えるかもしれない。「何もいいことはない」と心配した隊長の言葉は的中したのかは直接訊いてみるしかないが、すでに二人は故人である。ベティは夫のバーニーが亡くなってからもUFOの会合などにも出席し、自らの体験を親切に語っていたという。いずれにせよ当時UFO界を揺るがした「ヒル事件」を冷静に紐解けば、1950年代のコンタクトケースとさほど変わらない内容であることがわかるだろう。そして是非とも“永遠の古典”を手にとって読んでみて欲しい。そこには隊長の「ある願い」が語られている。時間や記憶の喪失感や、誘拐、検査、そして逆行催眠を通じて表現される恐怖心を掻き立てる描写を除いたところに「ヒル事件」の本質がある。そして、隊長の「願い」こそ、本当の来訪の目的だったのかもしれない。

(この項 終わり)

 

 

参考文献
「UFO Report Japan Vol.11」(2002)日本UFO調査・普及機構
「宇宙誘拐 ヒル夫妻の中断された旅」(1982)ジョン・A・フラー著 角川文庫
「コミュニオン 異星人遭遇全記録」(1994)ホイットリー・ストリーバー著 扶桑社
「A Common Sense Approach to UFOs」(1995)Betty Hill

 

 

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