【第8回】広島県の一か条

【第8回】広島県の一か条

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去年2016年の4月、3ヶ月後に発売を控えていた「広島の怖い話」の原稿を執筆しているときのこと、実は枕元に霊が立ったのを覚えている。白い着物を着た髪の長い女性だ。

実はこの「広島の怖い話」、予定では208ページほどを書くことになっていたのだが、私は怖い話シリーズ1発目ということで、たくさん書いた。気がつけば240ページくらいになったが、今回はその中で書いた話をしようと思う。

 

現在、私が住んでいるのは埼玉で「広島と関係はないよね?」と思われるだろうが、そうではない。

「広島の怖い話」で最初に書いた話があった。李王族の陸軍将校が原爆で亡くなっている歴史があり、その亡くなった場所でのいきさつを書いていた。1話では将校が性霊として出る。その理由として将校が愛した遊郭の娘の話を書いていたのだ。

将校は韓国の家族がいたが、広島にはいなかった。
※これは想像の域だが遊郭の女性と恋仲でもおかしくないし、被爆した後なぜか川上の方へ逃げたとの説がある

 

特にこの李公はかなりのイケメン、私はムクムクと想像の翼が広がる。

そのときも例にもれず、指が動くまま書いた。パソコンが壊れそうになるほど。どのくらい書いたというと、1時間で約1万文字にもなるほどだった。

 

書き終わった夜に眠っていると、泊まっていた霊能力者の知人が私の枕元にその白い着物の女性が立っているのが見えたという。足は友人の方向を向いていたが、顔は私の方を見ていた。

「徳子ちゃん、行っちゃいけないところに行かなかった?」

「もしくは、親戚で誰か亡くならなかった?」

ちょうど故郷の熊本で大地震があり、親戚の安否の途中だったので慌てた。だが皆元気で大丈夫だった。となると、この霊は…。

 

もしかして、と思って、彼女に李公と女性との恋愛を描いた脚本を見せた。

すると「この人だ」と答えた。

写真も何もないが、私の想像でしかない女性が、枕元に立つとはどういうことなんだろう。

「これ、徳子ちゃんの創造じゃなく、本当にいたんだよ。これ自分の創造だけで書いた?」

うーん。確かにこれは背中の霊が書いた。そんな感覚もある。

私が書いた恋愛の話は「行っちゃいけないところ」だったんだろうか…。

 

そうこうして原稿の確認を出版社に出した。担当者は役員なのだが、出した後も一向に返事がなく心配だった。

もしかしたらダメなのかな…、なんて思っていたころ戻ってきた。すると、この将校の脚本も、女性の霊の話も削られていた。

さすがに広島とは関連しないと思われたか…と残念に思った。その時、何となく嫌な予感がした。発売前だから私も気が張ってるのかと思ったが、当時友人と撮った写真には私の足が写ってなかったり、故郷も色々大変だったり、あまりいい傾向ではなかった。

 

出版直前、担当者の役員が「辞職」した。これから発売というときに、さすがに驚いた。

ただ、これは悪いことばかりではなかった。担当者が社長代わり、今後の話がスムーズに進みだしたのだ。辞職した担当者が話を止めていたのか定かではないが、本が出るまで連絡がほとんどないようなことは無くなった。

 

その後、広島の怖い話が発売前ながら、不思議なことに「東北の怖い話」「北海道の怖い話」と立て続けに続編が決まった。

その後、ありがたいことに、広島カープの優勝にあやかり、この本は「広島の15冊」に選ばれるまでなった。広島を取材させて頂いた皆さまとは今も交流があり、広島県民の素晴らしさも感じている。広島の人は一度懐に入ると、とても熱心に助けてくれる。

 

で、結果をいうと、あの原稿を読んだ担当者はいなくなり、私達への運気だけが残った。

もしかすると、あの女性の霊は「この話を世に出すな」と言いたくて出てきたのかもしれない。なので、この話はここで書くまではずっと黙っていた。

 

後日談だが、他の地域を書いた霊媒師の作家がいた。この人は女性で、本も人気があったという。だが霊に憑りつかれてしまい、とても執筆できる状態じゃなくなったという。

それもあって私達に執筆の依頼がまわってきたのも偶然じゃないかもしれない。

広島県の一か条、それは「人と人を大切にするところ」ということだ。

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